獣害対策で住民が疲弊しないために、適切なタイミングでの対策実施と効果の見える化を

こんにちは。池田やすみち(山梨県北杜市議会議員)です。

北杜市農業再生協議会などで、最近立て続けに獣害への対策を強く求められる場がありました。引き続き深刻な状況と言えます。議員同士の話でも獣害対策の緊急性・重要性が頻繁にテーマに上がってきました。

そんな中で、甲斐けもの社中さんのフェイスブック投稿を拝見しましたので、ご紹介します。(→フェイスブックのページ

以前北杜市担当部署と獣害対策を求める住民へ説明をされる場に同席させてもらったことがあります。非常にロジカルで、説得力のあるお話でした。一部ではありますが、その時のお話も交えてご紹介します。

〜全体〜

・現状把握、情報共有、体制づくり、が大切

・行政はプレーヤーではなく、コーディネーター。防除や追払い、捕獲などの全てを行政でやるのは不可能。

  防除…(住民主体)

  追払い…(住民主体)

  捕獲…(有資格者)

  現状把握・効果検証…(行政・専門家)

〜農作物被害の現状把握、対策の効果検証をどうするか〜

以前議会でも質問したところ、委員会と本会議で真逆の答弁がされたことは以前のブログで書きました(→こちら)が、現実問題として獣害被害を把握するのは至難の技です。

そこで甲斐けもの社中さんが勧めているアプローチは、獣の行動エリアがどう変わったかの推移を見る、とのこと。

・対策前の獣の行動エリアやパターンを把握(当たり前ですが農作物被害が出ている場所は漏れなく行動範囲となっている)

・行動エリアを捕捉しながら、住民とともに追い払いを実施→いつも追い払いを受ける農地には獣が近寄らなくなる結果、行動エリアが変化する

・調査開始時点と対策実施(継続)をした後とで比較をすることで効果が分かる

・群れによっては追い払いしても他の群れとの関係(縄張りと表現して正しいのかな)で集落エリアから外に追い払えないケースもあり、その場合は全頭捕獲も選択肢。

・個体数を減らす(間引きするようなイメージ)、と言ったアプローチも取る

〜被害を受ける日を予想して対策をする。住民が疲弊しないアプローチ。〜

・獣にGPSを装着して、行動パターンを分析(北杜市もこれは実施。VHFだけだったかな。何れにしても活用は十分とは言えない。)

・前日の行動場所から、翌日どのあたりの農地が危険かを予想

・該当するエリアの住民にメール等で事前に情報を共有

・住民は被害が発生する前に追い払いを実施

〜GPSは高コストか?〜

・初期費用はテレメトリー(VHF)が確かに安い。しかし常に人間が電波を拾いに行き、位置情報を捕捉し、ウェブサイトにアップする、と言った作業が必要。

・GPSの場合、初期費用が高いが、上記のような手間が不要となりトータルでは安あがり。

  時給八百円として、1回1時間、1日7回位置を捕捉したとして、1日5,600円

  年間にすると2,044,000円(ガソリン代、車両代などは含まず)

  このコストが発生しなくなる。

北杜市の獣害対策は、これまでPDCAが全く機能していない、と言われても私には反論できない状況です。まずはこれまでの対策を整理し(何を実施し、効果がどうだったのか等)、今後に向けた計画を立案して行く必要があります。これは行政がコーディネーターとして行うべき役割でしょう。

冒頭で、“以前北杜市担当部署と獣害対策を求める住民へ説明をされる場に同席させてもらった”と書きました。その際の行政サイドの宿題にもなっていましたので、議論を続けている状況のはずですが、議会側の問題意識もかなり広がってきましたので、並行して引き続き調査・提言を行ってまいります。