裁判所の判例に照らし合わせると、ご本人の証言からは「居住実態あり」とは言えない

この件、相当多くの方から注目されているようで、アメブロの政治家部門で15位になってました(驚)。

大勢の方に情報が届き、ありがたいことです。

採決までぜひ注目をお願いいたします。

本日は(1)〜(4)の観点のうち(3)についてです。

(1)定量情報(公共料金、使用量)からは「居住実態あり」とはとても言えない

(2)新たな疑問が生まれても追加資料請求を認めない委員会の目的は一体何だ?

(3)裁判所のこれまでの判例に照らし合わせると、ご本人の証言からは「居住実態あり」とは言えない

(4)同じ集落にお住まいのご親戚が意を決して「居住実態なし」と証言(署名押印付き文書)しても「居住実態あり」とする議員たちの判断理由は一体何なのか?

先日概略をご紹介してますが、本日は改めて詳細をお伝えします。

本日も長文ですが最後まで読んで頂けると「居住実態あり」とするには無理があると考えることに、ご納得頂けると思います。

(すでに納得されている方がほとんどとは思いますが)

次のような判例で、生活の本拠(居住実態)を判断しています。

選挙前のことを争っていますが、選挙後であっても全く同じ話と言えます。

(…の部分は分かりやすくするために省略した部分です)

【判示事項】
横浜市議会議員選挙に…立候補し,当選した…が…当選の効力に関する選挙人からの異議申出に対して…神奈川県選挙管理委員会…が…当選を無効とする旨の裁決をしたので…裁決の取消しを求めた事案。裁判所は…住所は新住所…にはなく,旧住所…であったと認められ…本件選挙における住所要件を充たさず,被選挙権を有していなかったと認め,当選を無効とした裁決に違法はないとして,請求を棄却した。

「居住実態なし」とされた側の主張(抜粋)

新住所に転入してきた当初,単身赴任であったために…夫と中学生である子供の世話や家事のため,週末は旧住所のマンションに戻って寝起きし,本件建物で寝起きした平日にも短時間旧住所のマンションに戻ったことがあった…本件建物では洗濯を行わず,洗濯は旧住所のマンションや元同僚宅で行い,ガスを平成27年4月4日に開栓するまでは,本件建物において入浴しなかったことも事実である…旧住所…に戻っていたのは,週末あるいは平日昼間のごく短い時間にすぎない…

…病気が再発し,しばしば1日中休むことがあった。その療養の間は…旧住所のマンションにおいて療養に努めなければならなかった。病気の療養のため,旧住所のマンションでの生活を余儀なくされ…,旧住所を住所と認定してはならない…。

藤原尚議員の証言とかなり似通っています。

・洗濯は旧住所である韮崎

・入浴も旧住所である韮崎

・旧住所に戻っていたのは食事を含め、限定的な時間

・ご家族の事情があり、韮崎に行く必要がある

こういった主張に対する裁判所の判断がこちらです(抜粋)

住所とは,生活の本拠,すなわち,その者の生活に最も関係の深い一般的生活,全生活の中心を指すものであり…客観的に生活の本拠といえる実体を具備しているか否かにより決すべきものと解するのが相当である…。

   本件についてこれをみるに…

本件建物の利用を開始するに当たり,旧住所のマンションにおいても日常生活が営める状態を維持しつつ…

本件建物に寝泊まりした日であっても,たびたび短時間旧住所のマンションに戻り,子供のための料理の作り置き等の家事を行ったり,入浴したりしていたこと…

食事は,旧住所のマンションで料理して持参したものを食べるか,コンビニエンスストアの弁当や外食で済ませていたこと…

本件建物においては,洗濯を行わず…入浴もしなかったこと

その生活実態をみる限り,原告の生活の本拠,すなわち全生活の中心となっていた場所が…客観的に旧住所から新住所に移転したと認めることは困難であり,新住所に…生活の本拠といえる実体があったと認めることはできない

原告は,旧270条の趣旨からして病気療養の際に寝起きしていた場所を住所と認定してはならない旨を主張するが,旧270条は,入院加療中の者についても住所の認定に関する一般原則に則って取り扱うべき旨を定めていたにすぎず,その趣旨に原告主張のような趣旨が含まれているとは解されないし,そもそも旧270条は現在では廃止されているのであるから,原告の主張は前提において失当である。

以上のとおり,本件期間中の原告の住所は新住所にはなく,旧住所であったと認められ,原告は本件選挙における被選挙権を有していなかったと認めるのが相当であるところ,これと同旨の判断のもとに,原告の当選を無効とした本件裁決に違法はないというべきである。

このように明快に判断されています。

司法判断は当然重たいものであり、その判断を参考にすべきでしょう。

別の言い方をすれば、この司法判断をひっくり返すくらいの理屈がない限りは「居住実態あり」とするのは困難です。

委員会での討論からは、私には「居住実態あり」の理屈を見いだすことは残念ですができませんでした。

本会議にはケーブルテレビも入ります。討論もあります。ぜひ最後まで注目をお願いします。

そしてもし北杜市議会議員の知り合いがいたら、当件についてどう考えているか聞いてみてください。

それが力強い働きかけになります。

池田やすみち(山梨県北杜市議会議員)