一般会計300億円に対して想定効果は3600万円ほど。行財政改革大綱(案)に市長の覚悟が読みとれません…

12月議会で行った代表質問のうちの一つは、行財政改革大綱(案)についての市長の考えについてでした。

第5次ということで、令和2年度から6年度を対象期間とする改革案が示されており、現在パブリックコメントとして市民のご意見を募集もしています。→https://www.city.hokuto.yamanashi.jp/docs/11375.html

普通交付税の合併特例措置が令和2年度で終わり、合併特例債の発行期限終了などの影響が顕在化してくる令和5年度から実質単年度収支がマイナス2億円ほどになると市では見込んでいます。
これまで議会や市民に対して示されてきた内容と大きくは変わらず、大変厳しい見通しです。 

行財政改革大綱案では、47のアクションプランが“綺麗に”整理されており、職員のご苦労が随所に垣間見られ、数値的によくなっているところも多いです。しかしながらマイナーチェンジとの印象であり、このプランを押し進めたら北杜市の財政は大丈夫、との安心感からは遠いのが実態です。
令和8年までの見通しが示されていますが、以降はさらに厳しい数値となることも容易に想像できます。

入りを増やし、出を圧縮し、徹底した効率化を行いつつ行政サービスは維持・向上させる、ということは並大抵のことではなく、既得権にも切り込む大手術、大改革が必要です。
これを先頭に立って行うのは、立場上職員には難しく、民意に後押しされた市長の覚悟あるリーダーシップのみがそれを可能にします。

しかしながらこの大綱案からは、市長の覚悟は読みとれません

例えば令和8年度以降も、同じ前提条件をおけば、財政見通しのシミュレーションは可能ですが、それは行わない、との答弁でした。厳しい見通しであっても市民にさらけ出し、対話を加速する必要がありますが、そういった答弁はありませんでした。

さらに現在のアクションプランが想定している定量効果は約3600万円ほどとの答弁。一般会計が300億円ですから、その効果の小ささに驚かされます。市長はこのレベルの”改革”を承認したことになり、将来に対する姿勢の表れ、と感じるのは私だけではないでしょう。

実際にはアクションプランには病院改革、上下水道事業の経営改善、企業誘致による法人税増、公共施設保有量の関係といった、財政へ大きな改善インパクトが見込まれる内容も含まれますが、数値的にどの程度の改善が見込まれるか大綱案からは読み取れませんし、想定もないそうです。繰り返しですが、これで市長は何を承認したのか、私には全く理解できません。

スケジュールの問題もあるのだと思いますが、この大綱案では”形だけ”のもの、と言われても市長は反論できないのではないでしょうか。

想定効果が大きいものは今後精査して議会(市民)にも示していく、とのことですので、市民の皆様へも分かりやすく情報共有してまいります。

池田やすみち(山梨県北杜市議会議員)

■プロフィール■
池田恭務(いけだやすみち)
1973年5月1日生まれ(46歳)
1997年国際基督教大学(ICU)教養学部社会科学科卒
外資系コンサルティング会社等民間企業を経て、
渡辺喜美みんなの党代表秘書(公設政策秘書)。
2016年11月より山梨県北杜市議会議員。
会派無所属の会代表、経済環境常任委員会前副委員長、広報編集委員会副委員長。