「北杜市立中学校適正規模等検討に係る地域説明会」全8回に参加してみて…

1月21日の明野地区での説明会を皮切りに、昨日6日の武川地区まで全8回の説明会が開催されました。各地区のご意見を直接聞いておきたく、全ての回に参加(基本傍聴)してきましたので、まとめておきたいと思います。やや長くなります。

市長の姿勢について、まずは振り返りましょう

以前ブログでもご紹介しましたが、様々な情報から判断するに、中学校の統合は避けて通れない、というのが渡辺英子市長のスタンスです(良し悪しは別として)。昨年5月だったか、議会向け説明資料では次のように書かれています。

中学校の統合については、平成26年2月に市立中学校統合計画(案)を策定し、学校関係者等から意見を伺ったが、4校案を進めることは難しいとしたところである。しかしながら、少子化に伴い生徒数が減少する中で、学校の適正配置は避けて通れない喫緊の課題であり、より良い教育環境を提供するため、適正配置について検討を進めることとした。

(課題)

生徒数の減少に伴う学校統合は喫緊の課題であるが、地域での説明会や意見聴取会などを通じて、地域性を考慮する必要性、通学への不安などさまざまな意見が寄せられた。今後は、中学校統合へ向けて、協議検討を進める必要がある

(以上抜粋、強調筆者)

今回の説明会では、繰り返し「ゼロベースで話し合う」とか「全て白紙」といった説明でしたが、12月に開催された小中学校適正規模等審議会が紛糾したのも、統合前提で会議が進められた(説明会資料が作成された)からであったと仄聞しています。

地域説明会はどうだったか

全地区に共通することとして、何が目的の説明会なのかが漠然としており、戸惑いを感じる方が少なからずいらっしゃった印象です。配布資料に基いて最初に”現状”の説明をし、その後「ご意見どうですか?」との進め方であったため、それぞれの思いとして「統合がいい」「このままがいい」など大切なご意見が出る一方で、「議論の材料がない」「何を持って判断すればいいのか分からない」といったようなご意見もあり、私も同様に感じました。

学識経験者なども含まれる審議会(地域説明会の前に、これまで2回開催)では、「人数ありきでこれからの教育を考えるべきではない」「9年間の義務教育をどう考えるのか」「合併しても必ずしも良くなる訳ではない事例もある」「これからの教育はこうなっていく」など、専門的・学術的裏付けのある意見や事例紹介などもあったようです。地域で考える材料となる、そうした情報が今回の説明会資料に含まれていないことも、問題として提起されていました。審議会で出た意見や情報などが地域に説明されないと、審議会は形だけ?となりかねず、マズい進め方だったと言えます。

そのほかのご意見としては、「適正規模の根拠が理解できない」「中学校だけで考えるべきではなく、市全体の街づくりの一環で考えるべき」「どういう教育を北杜市はしていくのか」「“原っぱ教育”が漠然としているので、合併がいいのか小規模がいいのか分からない」「言葉だけの教育目標ではダメ」「なぜ小中一貫教育を検討しないのか」「教育制度そのものの議論が必要」「子どもを増やす施策を」「地域それぞれで目指すものが異なっても良いのでは」「行きたい中学校(小規模、大規模)をそれぞれが決めればいい」などがありました。メモが網羅的ではないのですがご紹介しておきます。

様々な意見が出ましたが、意見しようのない参加者がいたことや、地域全体に説明会開催の連絡がされてないことなどから、そもそも各地域の網羅的な意見収集にはならなかったのが残念です。

議会に示されている今後のスケジュール案

説明会ではなぜか濁していましたが、以前もブログに書いた通り、議会には次のように説明がされています。

平成31年度(令和元年)
・小中学校適正規模等審議会を設置し、計画策定に向けた取り組みの進め方などを審議。地域での意見を踏まえつつ、8校区域ごとの意見を集約する中で、適正配置実施計画の見直しや統合計画の作成などについて協議検討を進める。
・各学校区において、中学校の統合について、経緯や課題等について説明会を開催する。
 4月 小中学校適正規模等審議会の公募募集
 6月 委嘱 → 審議会開催スタート

令和2年度
・適正配置に向けた関係者(教員、PTA、学校評議員、地域関係者)を募り、地域における中学校のあり方や統合について意見をまとめる。
・ワークショップと審議会で審議した内容に基づき、適正配置実施計画見直し

令和3年度
・適正配置実施計画に対するパブコメを実施。
・中学校統合計画案の作成、パブコメの実施。
・中学校統合計画策定。

令和4年度
・4月に中学校統合計画を公表。
・5月〜説明会を実施。

3月に次の審議会が開催されるようです。前回12月は開催日が公開されず傍聴しそびれましたが、次回は大丈夫ですので、内容についてタイムリーに市民の皆様に情報共有いたします。

とにかく、考えうる検討事項を全て机上に載せて議論しなければ、市民の納得は得られません。統合すべき、とのご意見の方でも、自分の地域から学校が無くなるのであれば反対、という方もいらっしゃいます(すごく理解できます)。教育的視点だけではなく財政的視点だってあっていいはずです。

今回の説明会がいまひとつだった原因が、教育委員会の段取りありきの進め方であったならば、それも質していく必要がありそうですので、そうした視点でも注視してまいります。

池田やすみち(山梨県北杜市議会議員)

■プロフィール■
池田恭務(いけだやすみち)
1973年5月1日生まれ(46歳)
1997年国際基督教大学(ICU)教養学部社会科学科卒
外資系コンサルティング会社等民間企業を経て、
渡辺喜美みんなの党代表秘書(公設政策秘書)。
2016年11月より山梨県北杜市議会議員。
会派無所属の会代表、経済環境常任委員会前副委員長、広報編集委員会副委員長。