このタイミングで市民全員へ8万円相当を給付する提案にNO。市長からの提案に与党会派からさえも異論噴出。

昨日、新型コロナウイルス対策本部会議が開催され、6月議会にて提出される補正予算に盛り込まれる前提となる、コロナ対策案の説明を受けました。
しかしその内容に異論が噴出。発言内容から推察するに、20名中、反対が18人?、賛成は2?という市長にとって極めて厳しい状況となっています。

なぜここまで不評なのか

市長が提案してきたのは、市民約46500人全員に、商品券5万円+現金3万円、計8万円を給付する、です。総額40億円弱!
これを私なりに表現するならば、効果が見込めないバラマキ、です。

【目的な何なのか?その目的を達成できるのか?】
市民全員に給付をするわけですが、説明を聞く限り主目的は事業者支援と言えます。シンプルに事業者に給付すれば?という疑問は当然です。
消費喚起につながれば事業者支援になりえますが、過去の現金給付や商品券がどの程度効果があったか、内閣府が分析してまして、どちらの場合も32%程度の支出増にしか繋がっていません。戦後最大の危機的状況という中では、さらに貯蓄に回る率が高まるのではないでしょうか。
市内事業者(業界)に使用先を誘導するなどするそうですが、恩恵を受けるであろう業界が限定されそうですし、特に北杜の主要産業で危機的状況にある宿泊事業者への効果がほぼ見込めないのでは?と思われるなど、懸念が尽きません。
しかも商品券には事業コストとして1億円以上必要となります。

生活支援だとするならば、このタイミングで市民一律給付は政策として雑すぎます。コロナ前から収入面では影響のない市民も大勢いらっしゃいます。市職員や議員もそうですし、年金受給者もそうで「若い衆が大変だから助けてやってくれ」と声をかけてくださった方もいました。

このように目的に対して効果が乏しい(非効率、的外れ)と言わざるをえません。

【今後の財政運営は本当に大丈夫なのか?】
こうした対策であることに加えて、市の貯金である基金を大幅に取り崩します。
そんなに使って今後の財政運営に支障は出ないのか?その見通しの根拠は?と言う質問への論理的・合理的な答弁は聞けませんでした
第2波、第3波が来たときに、自治体として何もできなくなるのでは?と心配する発言も多く聞かれましたし、コロナが終息したあとも経済が回復するまでには時間を要すでしょうから、困っている市民を長期にわたって守り抜くことができるのか。

【参考までに他はどうしているか?】
他自治体で個人へ一律給付しているケースでは、商品券か現金のどちらか一方、額は1万円ほど、というのが多い印象です。
しかもコロナの影響が今よりもずっと見通せなかった4月5月の話であって、北杜が給付しようとしているのは8月9月以降です。
個人への一律給付はしてない自治体も沢山あります。
某市長与党議員の表現をお借りすれば、市長案は桁違いの内容、です。

今後の見通し

本日夕方記者発表がされる予定ですが、11月の市長選挙と合わせ、どんな報道がされるか心配です…。

昨日時点で議員からは(こちらも市長与党)、取り下げるよう促すような発言もありました。
しかし市長からは、議会からの提言を踏まえて検討した結果です!といった主張。
当たり前すぎるツッコミですが、何やってもいい(効果が見込めなくてもいい)というわけではありません。効果的であることが大前提であって、市の貯金(市民の血税)を、効果が見込めない対策に費やす補正予算に賛同できるはずがないのです。

市長が出してくる今回の補正予算は、このままではまず議会は通らず、議会サイドから修正案が出される流れです。
8万円は多過ぎるで3万円以内でしょう、と提案される議員もいましたが(←理屈がまだよく理解できていません)、私からは市民全員への一律給付ではなく、例えば緊急小口資金や総合支援資金をお借りになる市民への給付に絞るなど、本当に困っている市民の生活支援を長期間にわたって継続的に行える案を軸に、議員各位と議論してまいります。

池田やすみち(山梨県北杜市議会議員)

■プロフィール■
池田恭務(いけだやすみち)
2016年11月より山梨県北杜市議会議員。
地域政党「あしたの北杜を想う会」所属
1973年5月1日生まれ(46歳)
1997年国際基督教大学(ICU)教養学部社会科学科卒
外資系コンサルティング会社等民間企業を経て、
渡辺喜美みんなの党代表秘書(公設政策秘書)。
会派無所属の会代表、経済環境常任委員会前副委員長、広報編集委員会副委員長。