子どもの数同様、太陽光問題も公約が反故に。声を届け、改革への挑戦を後押ししよう。

12月議会で残念な答弁がいくつかあり、その一つは太陽光問題に対するものでした。
条例改正が公約でしたが、「子どもの数を10年で2倍」同様、大きく後退することになりました。

分かりやすいところを抜粋しますと、
「説明会」を義務化することについて、専門家から難しいと言われたとのこと。ネットで他自治体の条例を検索すれば、説明会を求めている自治体は出てきますので、ぜひ参考にしていただきたいです。(検索したらトップに出てきたのでご紹介:渋川市の条例
・条例改正に関する住民投票など、公約されてましたが、議会答弁では言及がありませんでしたので、行わないという表明との受け止めです。
・現時点でやる必要性のない(国で対応することが決まったため)、現状回復については引き続き取り組まれるとのこと。

(無料画像より)

選挙前の公開アンケートでは2021年6月改正と公約されていました。→こちら (以下は抜粋です)

1.現行の太陽光条例を検討委員会の提言に沿ったものに改正する必要がありますか? → ある

2.「ある」と答えた方に伺います。どのように改正する必要があると考えていますか?(下記は、全て検討委員会提言書に記された条例骨子に盛り込まれた内容です。)
①災害危険区域を設置禁止区域とする。
②特に貴重な自然環境や景観を守るべき地域を指定し、設置禁止区域とする。
③一方的な説明(通知)ではなく、事業者と周辺住民等が質疑応答可能な「説明会」を原則義務化する。
④生活・地理的状況に配慮するため山岳景観形成区域と田園集落景観形成区域に分けて、設置許可基準を設定する。
⑤敷地境界からの離隔距離は提言通りとする。(隣接住宅がある場合、5mもしくは10m以上)
⑥パネルの最上部の高さ制限は1.5m以下とする。
⑦電気事業法に基づく電気設備の技術基準適合義務遵守を確認するための強度計算書の提出を義務付ける。
⑧設置済みの危険設備(災害危険の明白な設備、既に被害が出ている設備、電気設備の技術基準適合義務違反の設備等に対して一定猶予期間内での是正を義務付ける。

【上村英司様からのご意見】
 まず、設問2の①②③については、早期に条例を改正し、2021年6月の施行を目指したいと考えます。
 しかし、④~⑥につきましては、土地所有者の権利、また、地域による格差が考えられ、「北杜市太陽光等再生可能エネルギー発電設備設置に関する検討委員会の提言書」に関する市民説明会を開催し、地域毎での意見集約または、住民投票を行いたいと思います。
  ⑦については、電気事業法が施行されており、同法の遵守を徹底します。
  ⑧について、設置済み施設につきましては、条例改正に伴う指導の徹底を行います。

 ここからは、新たな提案になります。
 規制強化を求める声が強くなっていることは、十分に理解しておりますが、規制強化だけの試みで、景観は守られるのか疑問を持っております。
    北杜市の将来のためには「これから設置する」、「すでに設置されている」という太陽光パネルが正しく利用されることが第一ですが、いつか故障や老朽化などの原因によりパネルの廃棄の日を迎えることになります。
 また、運営会社の倒産、設置者(所有者)の逝去などによって施設の所有権があいまいになってしまうことも考えられます。
 過去、バブル崩壊によってタレントショップや飲食店、別荘などの廃墟が続出し、今現在に至っても原状回復ができないことを考えると、地上設置型太陽光パネルも10年、20年先に、廃墟となる可能性が大きく、多くの産業廃棄物が野ざらしになる危険性をはらんでいます。
 わたくしは、太陽光発電設備の所有者に対して、何らかの理由で運営ができない、または、所有者が不明になったという段階で原状回復ができるよう、各設備の規模に応じた「供託金」のような制度を早急に検討したいと思います。
 あくまでも供託金なので、法に則って運営していただき、太陽光事業からの撤退が速やかに行われた場合は、供託金は返還します。
 しかし、なんらかの事情により原状回復が難しい、所有者が不明になった場合は預かっている供託金を活用し、原状回復することで、北杜市の景観が守られると考えます。
 供託金制度の適用は、すでに設置されている太陽光発電設備にまで拡大することで、将来への負担を最小限にすることができると考えておりますし、さらに、これから太陽光を設置しようとする事業者に対しても抑止効果が働くことでしょう。
 法的な裏付けも含め、地方自治体としてどこまでできるのかを早急に検討し、条例改正を進めたいと思います。

認定の失効が含まれる改正FIT法が2022年4月に施行されるため、駆け込み設置が懸念されています。
答弁では、「県の動向をみながら必要に応じて条例見直しの検討をする」(正確な文言は議事録)とのことでしたが、県が出す条例案は来年6月なので、これを待っていては遅すぎるのです。

”新たな提案”とされている”原状回復”については、選挙前の公開討論会でも直接お伝えしましたが、すでに今年6月に国の法律が成立していまして、先行して廃棄費用事前積立制度を条例化している自治体とは、制度的に重複することになるのをどうするか、という議論がされています。北杜でこれから議論するのは周回遅れで、国の動きに逆行します
(参考:経産省サイトにその辺りが議論されているWGの資料、議事録はこちらです

時間が限られる中で、国の動きと逆行する”原状回復”については検討する必要はありません。

着任早々、公約が反故にされるのはとても残念な状況ですが、公約に沿って適切にご判断し直されると信じ、あきらめずに声を届けてまいりましょう。

■プロフィール■
前北杜市議会議員。
会社員時代はコンサルティング会社などで勤務。その後、東日本大震災をきっかけに政治の世界を志し、国会議員の政策担当秘書として活動。
2015 北杜市に移住。地域おこし協力隊として、行政活動に従事。
2016〜2020 市議会議員。
2020 市長選出馬。
妻と2人の子ども、そして保護犬の4人と1匹家族。
2020年、養育里親の認定取得。