不安と期待と。林業地域おこし協力隊を募集しています。

北杜市で新たに林業の地域おこし協力隊を募集しています。

12月議会の所信で渡辺英子市長も触れていました。

地域おこし協力隊の制度は、きちんと活用され、機能すれば素晴らしい地域活性化につながる大きな可能性を秘めています。

ただ、労働力として扱うようであれば機能しませんし、誰も幸せになりません。

もちろん協力隊が行う全ての取り組みがうまくいくとは限らないのでトライ&エラーへの許容が必要です。

しかし今までの北杜市での活用方法は、単なる労働力としか見てないのでは?という意見を聞くことが大半です。私も当事者として観光系は当時そう感じました。

当市の観光分野の地域おこし協力隊が3年の任期を満了することなく辞め、離職率が高いのはこのためではないでしょうか。

1年毎の委嘱なので年度末で辞めた場合は離職とカウントしない”離職率”の数字もあるので聞くときは注意が必要です。

また、北杜のことは好きだから、ということで離職後も定住されている方もいます。そうすると元協力隊の定住率が高めに出るわけですが、その数字を使って”成功しています”と言うとしたら、市民をミスリードします。

農業系の協力隊さん達のお話を伺っても、同様の課題認識をお持ちでした。

みなさん人生をかけて応募し移住してこられるわけですから、これまでと同じでは困りますので、12月議会で次のような一般質問をしました。

  • 林業従事者より高齢化により担い手が減少、管理放棄林が課題と市長より説明があったがこれら課題の原因は何か?
  • これら課題の原因が解決されることで、北杜市の林業がどうなることを想定しているのか?
  • 林業地域おこし協力隊にはどの原因を可決していただき、結果として課題が解消されることを期待するのか?
  • 年間どの程度の活動費となるか?

一問一答ではないので議論が深まり難いのですが、答弁は次のような内容でした。

  • 木材価格の低迷など、十分な販売収入が得られないことが担い手不足の原因。
  • 森林の集約化を図り、低コスト生産を行うことで収益の増加を図り、森林所有者へ利益を配分するとともに、再造林につなげていくことがこれからの林業のあり方。
    →これで担い手不足を解消できるなら、なぜこれまで進まなかったのか。その原因を解消することが協力隊を募集する目的ならば納得感がある。
  • 林業後継者の育成は重要であることから、地域おこし協力隊員を募集し、林業技術を習得して地域に定住し、北杜市の林業を担っていただくことを期待する。
    →何をするにしても林業技術は必要なので習得してもらうこと自体は違和感ない。
  • 隊員に認められた年間200万円の活動費は、地域に定着するための生活支援、技術習得のための機具の購入や、移動のための車両借り上げが主なものであるため、自主企画をするための経費とは捉えていない。各種技術研修を行い、最大3年かけて育成。企画などは研修先である支援機関が相談に応じるよう指導する。
    →これまでのところ森林集約、低コスト生産が十分できてないと、答弁からは捉えらる。協力隊が単に技術を習得するだけでは当市の林業の状況は変わらないのでは(すでに技術をお持ちの方は当然いらっしゃるわけですから)?

皆さん、どうお感じになりますでしょうか。

地域おこし協力隊として来てくださったとして、答弁のようなアプローチで林業の課題が解決され、3年の任期終了後には十分な販売収入が得られて再造林につながり、経済的にも自立し、引き続き担い手として北杜市に定住してもらえるイメージが現時点では私には湧いていません。

一方、次のような答弁もあったので、これまでよりも協力隊の力を発揮していただける可能性が高まったとは感じています。

  • これまでの課題を踏まえて支援機関が単なる労力として隊員を使うことのないように指導する。

これは大きな前進です。北杜市での地域おこし協力隊の活用は良い方向に向かっています。これが大きな前進というのもお恥ずかしいですが…。

実際にどうなるかは未知数ですが、我こそはという方にはぜひご応募いただき、挑戦して頂きたいと思います。

私も議会の立場からフォローできることはしっかりしてまいります。

池田やすみち(山梨県北杜市議会議員)

※過去の地域おこし協力隊についてのブログ:

 北杜市地域おこし協力隊(観光分野)の離職率が高いのはなぜか

 地域おこし協力隊制度への不適当?な認識に変化を感じられず ”一般会計決算”に反対した理由(3)

※質問や答弁の内容は議事録が正式な内容となります。